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伊丹さんの恋「ごはんをたべよう!」−『相棒』二次創作小説


『相棒』のキャラクターを使用して書いておりますが、本編とは全く関係ありません
  cometikiオリジナルストーリーです (c)テレビ朝日・東映
※何気に連載モノ 『相棒 ふたりだけの特命係』TOPの下に作品がまとめてあります



 「何やってんスか先輩!
  メシぐらい行って来てください!」




「仕事が忙しい」を言い訳に、放置されている伊丹と千花の関係に、
芹沢がキレた。。。
土日の休みなど無い伊丹の為に、芹沢はランチに行く事を薦めた。
のっけからディナーなんて、伊丹にはハードルが高過ぎるだろう。と
いう、芹沢の親心(?)あっての事だ。

某ショッピングセンターの近くにある、洋食屋がオススメだ・・・という
情報も与えられ、伊丹は慣れない誘いのメールを送った。

 ”じゃあ、土曜日の11時に正面口で待ってる”

千花からの返信は特に絵文字も無い、シンプルな文面で・・・芹沢と
芹沢の彼女みたいな、ハートマークいっぱいの返事を期待していた訳
ではなかったが、伊丹は少し拍子抜けしていた。





             * * * * *





 「じゃ、僕等も昼食ってきますんで!」
 「お前は、ゆっくりしてこいよ。フォローはしとくから、な?」

”初デート”を口には出さないものの、明らかに顔の緩んでいる芹沢と
三浦に歯軋りしながら、伊丹は「ああ」とぶっきらぼうに答えて、手を
振った。





             * * * * *





数歩、歩いては立ち止まる。

 「今日は、ヨロシクな」

呟いて、歩き出す。
「いやいや」と、頭を横に振る伊丹。

 「よう!・・・は、違うか?」

千花に会ってからの、第一声のイメトレなのだがしっかり声に出て
いた。しかも動作付き・・・気付かないのは本人だけで、周囲からは
確実に”怪しい人”と見られている。
通行人は自然と伊丹を避けるように、通り過ぎていった。

「これだ!」という台詞も見つからないままに、伊丹はショッピング
センター前まで辿り着いてしまった。

 「!」

指定場所に千花の姿を見つけて、思わず固まる伊丹。
そこには、キャミソールっぽい膝丈ワンピース(夏らしい白地に水色
と淡い緑のストライプ)に、生足でサンダルという格好の”女性”が
居たからだ。

「バグンッ!」という音と共に、一気に心拍数の上がった伊丹は、
胸を押さえてしゃがみ込んだ。顔に血が昇っていくのを感じ、右手で
口元を覆う。



 「―・・・」



せめて赤面が収まるまでは・・・と思った時、千花の腕をチンピラ風
の男が掴むのが見えた。

 「とおーーーーーうっ!!!!!」

考えるより先に伊丹は、男の腕を切り離すべく飛び出していた。
手刀で男の手を切って捨て、千花を自分の背中へ隠した。





             * * * * *





 「ねえ。何、怒ってんの?」

折角のランチだというのに、伊丹はぶすくれた表情でハンバーグ
やらご飯を、無言で口に運んでいた。
たまりかねた千花が、問い掛ける。
伊丹は千花を上目で見ると、すぐに目を逸らして「別に」と答えた。
千花は持っていたフォークを置くと、背筋を正した。

 「”別に”って態度じゃないでしょう?私、何かした?」
 「何かって―・・・」

不安気な千花の声に反応して、顔を上げた伊丹はモロに色白の
首筋とか鎖骨とか、腕とか胸元とか、何だか色っぽい唇とかを見て
しまって、口を閉じた。

 「何?」

少し首を傾けて、その先を促す千花の瞳に、伊丹は「ごくん」と唾
を飲み込んだ。そして、それがバレないようにと俯く。
千花は、肩を落とし溜息を吐いた。

 「やっぱ似合ってないか。メイクとか初めてだし・・・」
 「え!?お前、化粧してんのか!!」
 「気付いてなかったの?!!」
 「いや・・・その・・・」

いつもと違う雰囲気の理由に納得したが、それに対する想いを
素直に口に出せず、またしても伊丹は俯いてしまう。

 「うわぁ〜あのコ、可愛いなぁ」
 「色白くて、人形みてぇじゃん」

伊丹がもごもごしていると、背後に居た青年達の、好色そうな声が
聞こえた。
伊丹は突如立ち上がり、着ていたグレーのスーツを千花の頭から
被せた。

 「ちょっ・・・何すんのっ!?」

伊丹の暴挙に驚いて、千花が抗議する。

 「お、お前がそんな格好してフラフラしてっから、さっきもチンピラ
 みたいなのに絡まれんだろ!」
 「アタシの所為じゃないでしょ?あれは、あの人の勘違いで―」
 「隙があんだよ!あんなのに目ぇつけられるなんて!それとも
 あれか?誘ってんのか?!」

言い終わらない内に、千花も立ち上がって伊丹に勢いよく、平手
打ちを喰らわせた。
何が起きたかわからず、目を白黒させている伊丹に向って、千花
はスーツを投げ返す。

 「バッカじゃないのっ?!」

吐き捨てた千花の目には、溢れそうな涙がかろうじて留まって
いる。千花はそのまま、大きな足取りで店内を後にした。

 「・・・」

伊丹はそれを、左手を頬に当てて呆然と見ていた。





             * * * * *





 「だから!何で”特大もみじ”つけて帰って来るんスか?!」

警視庁の廊下を歩いていた、右京と薫が芹沢の声に足を止める。

 「知るかよ!いきなり殴られたんだ・・・」

休憩室に響く伊丹の声は、心なしかいつものハリが無い。右京と
薫は顔を見合わせ、しばらく聞き耳を立てる事にした。

 「お前〜・・・何かやったんだろう?」
 「俺は何もしてねぇっ!」
 「”俺は”って・・・じゃあ、千花ちゃんが?」
 「何されたってんだ?」

三浦と芹沢の問いに、伊丹は耳まで赤くして答える。

 「・・・ワンピース、着てたんだ」
 「はあっ?!」

もはや理解不能という声を、三浦と芹沢が同時に上げる。
そんな2人を睨み、伊丹は訴える。

 「ミニだぞ!こう・・・肌とかいっぱい見えてて・・・それに!化粧
 までしてたんだ!!」
 「イマドキ、化粧なんて小学生でもしてますよ?」
 「バカ!あいつは、化粧なんかしなくていいんだよっ!」
 「似合わなかったのか?」
 「違う!あいつがそんなのしたらなぁ、世のヤロー共が全員惚れ
 ちまうだろうがっ!」

断言する伊丹に、三浦と芹沢は口を「カパー」と開けたまま、二の句
が次げないでいた。

休憩室の外で、大体の事情を察した右京は「ひそひそ」と薫に耳打
ちをする。
薫が笑顔で頷くと、右京は中へ入った。

 「伊丹刑事。1分程よろしいでしょうか?」

何もかも見透かしているというような右京の声に、伊丹は舌打ちし
て振り返る。

 「立ち聞きとはいいご趣味ですねぇ、警部殿。つか、何テメェまで
 聞いてんだよ!カメ!!」
 「聞かれたくねーなら、こんなトコで大声出してんじゃねーよ!」

「んだと、コラ!」と、薫に噛み付きそうになる伊丹を制し、右京は
目だけで薫を諌めた。

 「聞いてしまったのは、申し訳ありません。ただ1点。どうしても気に
 なる所がありまして」
 「え?気になる所って、何スか?」

芹沢は名刑事の登場に、思わず身を乗り出す。3人ではどうにもなら
ないと思っていただけに、右京の言葉に期待が募る。

 「これまでのお話では、平手打ちをされる理由には欠ける気がする
 んです。できれば、殴られる直前のお話もしていただけますか?」

右京の黙秘は許さないという瞳に捕まって、伊丹は身を固くして小声
で話し始めた。

 「あ・・・あいつの事見て、ヤラシイ事言う奴等が居たから。この上着
 被せて・・・」
 「それから?」

催眠術師のように、右京は伊丹に先を促す。
薫・三浦・芹沢はその手際に感心しつつ、伊丹の言葉を待った。

 「チンピラに絡まれたりするのは、そういう格好が悪いっつったら、
 怒って・・・だから・・・どんだけ男誘ってんだって―・・・」
 「お前、そんな事言ったのか!?」
 「バカじゃないスか、先輩!!」
 「そりゃ、殴られるわなぁ・・・」

伊丹が言い終わると、薫・三浦・芹沢が一斉に噛み付いた。
その勢いに負けて、伊丹は半歩後ずさる。

 「仕方ねーだろ!俺がいつも傍にいて、守ってやれる訳じゃねぇ
 んだから!なのに・・・」

悔しそうに唇を噛み締め、拳を握り締める伊丹に、右京は目を細め
た。

 「なるほど。よく理解できました。亀山君」
 「ハイッ!」

部屋を後にしようとする、右京と薫を芹沢が引き止める。

 「いやいや。自分だけ理解したら、終りなんスか?!」
 「僕等はただの、野次馬です。”お2人の恋”に関して、何の力に
 もなれません」
 「杉下警部!」
 「それは、あなたも。三浦刑事も、同じではありませんか?解決
 出来るのは所詮、当人同士のみなのですよ。失礼」

右京は、冷い声で言い放つと部屋を後にした。
薫も「じゃな!」と片手を上げて、重たい空気の中を出て行ってしま
った。
2人の背中を見送りながら、芹沢が吐き捨てる。

 「なんスか、あれ!メッチャ感じ悪っ!」
 「しかし、まぁ・・・警部殿の言ってる事にも、一理あるんだよなぁ」
 「え?!三浦さんまで!?」

三浦は、伊丹の肩を優しく叩きながら言った。

 「なぁ、伊丹。ちゃんと千花ちゃんと、話してみろ?理由を言ったら
 必ず、わかってくれるコだから。な?」
 「・・・・・」

伊丹はひたすら、自分の足元を見つめていた。





             * * * * *





警察に休日など無い訳で、日曜だというのに朝から伊丹はデスク
ワークに勤しんでいた。
「ルルルルル・・・」と、内線電話が鳴る。
伊丹は自分の前の受話器を取った。

 「はい。捜査一課」
 「伊丹刑事はいらっしゃいますか?」
 「ええ。俺ですけど」
 「面会の方が来られてます。ロビーまでお越しください」
 「はあ・・・」

受付嬢は事務的に用件を告げると、電話を切ってしまった。
伊丹は首を掻きながら、受話器を置いて立ち上がる。





             * * * * *





「かったるい・・・」という足取りで、伊丹はロビーへやって来た。
受付嬢に面会の相手を確認しようと、何気に周囲を見渡すと、そこに
は千花が立っていた。

 「お前・・・か?」
 「うん。ごめんね、仕事中に。居なかったら、帰ろうと思ったんだけど。
 居たね」

イタズラっぽく舌を出して見せる千花は、紺色の長袖ロングドレスに、
黒のレギンス。足元は黒のミュールだった。化粧っ気も一切無い。

 「昨日は、ごめんなさい!!」
 「昨日は、すまん!!」

一瞬の沈黙の後、同時に謝っていた。
顔を上げて見合す、2人。
最初に口を開いたのは、伊丹だった。

 「いや・・・酷い事いったのは、俺だろ?なんでお前が謝るんだよ?」
 「殴っちゃったし」
 「いやいや、殴られて当然・・・だ」

口篭る伊丹を見て、千花はふんわりと微笑んだ。

 「話・・・」
 「え?」
 「話を、ちゃんと最後まで聞かなかったから」

「理解出来ない」という表情の伊丹を見て、千花は思わず吹き出した。

 「昨日ね、亀山さんから電話もらったの」
 「バカメから?!何の!!」

千花はポケットから携帯を取り出すと、何やら操作してから伊丹に向け
た。

 「”仕方ねーだろ!俺がいつも傍にいて、守ってやれる訳じゃねぇん
 だから!”」

そこから聞こえてきた、自分の声に目を見開く伊丹。

 「なっ!なっ!そっ!・・・」

”茹蛸”って表現がピッタリになってしまった伊丹を見て、千花は宝物
を隠すように携帯をポケットに仕舞った。

 「”隠し録りした”って言ってたけど、本当だったんだね」
 「かっ・・・隠し録り?!お、お前、どこまで聞いた??」

”隠し録り”という言葉を聞き、伊丹は瞬時に青ざめた。一体、どっから
どこまで録音されていたというのか・・・。
千花は、「きょとん」として答える。

 「え?これ以外にも、何か言ってたの?」
 「やっ!いやっ!!何も、全く!一言も、言ってない!!」

伊丹は顔の前で右手を超高速で、左右に振った。
千花は「ふっ」と、笑う。

 「気をつけるから」
 「へ?」
 「自分の身は、自分で守れるようにする。服装も・・・っていうか!昨日
 のアレは、特別!!」
 「とくべつ?」
 「アンタに見て欲しかったからっ!自分でも、ちょっと頑張り過ぎちゃっ
 たかなぁ〜って思ったけど・・・だって、初デートだったし・・・」

言って俯く千花の耳は真っ赤で、声も震えていたから、伊丹は驚いた。
そして伊丹の胸に、昨日の右京の言葉が蘇える。


 ”僕等はただの、野次馬です。”お2人の恋”に関して、何の力に
 もなれません。解決出来るのは所詮、当人同士のみなのですよ―”


伊丹は右手をそっと伸ばし、千花の頭を抱き寄せた。

 「ちゃんと、見たから・・・その、に、似合ってた」
 「ほ、ほんと?」

涙目の千花が、伊丹を見上げる。
伊丹はなるだけ無感情に「ああ」と呟いたが、千花は満足そうに微笑ん
だ。

 (全く。この微笑だけで、どのヤローだってイチコロだっつーの)

伊丹は、心の中で呟く。

 「じゃあ、次も頑張ろうかな」
 「バ〜カ!そんなに急いで、大人になんくてもいいんだよ!」

「は〜い」と、残念そうに言いながら、千花は伊丹の背中に手を回した。










 「で、いつになったら動けるんスか?僕等」
 「まあ、あと5分待ってやろうや」

出動命令が下り、ロビーを抜けて外に出たい芹沢と三浦達だったが、
”2人だけの極甘世界”に浸っている恋人達の邪魔が出来ず、あと少し
だけ・・・と、シアワセそうな伊丹と千花を見守るのであった。



          .☆.。.:*・ HAPPY END .☆.。.:*・


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