●●● 地球の王様 ●●●
アルバムを作るのが巧いなぁ…と思った。 つまりは、思い出の整理の仕方が巧い。 カールもエリーも。 …私が下手なだけだろうか…(悩)。 アルバムには写真だけじゃなくて、宝箱みたいに色んな物が入ってる。 あなたと行った、丘に立ってた木の葉。 あなたと見た、映画のチケットの半券。 あなたといつか、一緒に行く場所のイラストetc… それらが気持ちよい間で貼ってある。 整然としてない、独特の間。 その空間に、貼りきれない思い出が詰まっているのだ。 「愛する妻が死にました。だから私は旅に出ます」 映画のコピーにハメられて(?)、絶対見ようと決めていた作品。 見る前はガラスみたいに繊細な、美しく悲しいモノと思っていた。 ところが。 予想は見事に裏切られた(笑)。 カールは妻・エリーを亡くし、住み慣れた土地が激変してゆく事で 偏屈じいさんになっていた。エリーと過ごした場所と家に固執して、 し過ぎて人を傷つけてしまう。 警察から老人ホームで監視をするとの判決を受け、カールは家を出る 為の荷造りを始める。そんな時、大きなスーツケースの横からエリー が大切にしていた”冒険アルバム”(←タイトルうろ覚え…泣)が現れる。 カールはそれを見て、叶えられなかったエリーとの約束を果たす為に 動き出す。 2人の思い出が沢山詰まった風船を使って、家を飛ばした。 誓いの場所へ向けて。 ”エリー”との2人旅だと思っていたら、なんと運悪く玄関先に立っ ていた少年が乗っていた。カールは顔を顰めながら、少年の同行を認 める。 ただ、旅が進むうち彼はカールにとってかけがえのない”相棒”にな ってゆく。 気が付けば、家の中で鬱々と過ごしていた年寄りの姿は消える。 そして、カールは事件が起こる度にどんどん若々しくなってゆくのだ !! 活き活きしてくる!! 表情も、声も、動かしにくかった足さえも、軽やかに♪ 目的地に着く為にカールは一度、少年を失望させてしまう。 少年はカールの元を飛び出して行く。 しかし、カールは”元の生活”に戻ったように、自分の椅子に座り妻の残 したアルバムをめくる。 「この先は冒険したら、書くの」 そう言っていたページに、エリーはカールとの思い出を詰め込んでい た。 「楽しい冒険をありがとう。新しい冒険をはじめてね」 最終ページには、そう書かれていた。 妻のおもいを受取ると、カールは新たに誓う。 ”相棒”を取り戻すと!! カールは自分の為の冒険をはじめる。 その旅が終わる頃、カールはエリーと過ごした家を「ただの家」とし て見つめられるようになっていた。 相棒(と、その他大勢…笑)と共に、”新しい空飛ぶ家”での生活が 始まるのだった。 予告で繊細そうに見えていたおじいさんは偏屈だし、ちょっと根性が 曲がっていた(笑)。 だけど、それもこれも愛する妻を亡くしたが故とわかると、愛おしい。 彼の外側に出来た殻は、少年が少しづつ割っていってくれる。 本来のカールじいさんは、やっぱり繊細で優しい朴訥とした人だった。 殻が全部取り払われるまでの過程が、必死で、滑稽で、切なくて、温 かくて、笑える。 笑いながら、ボタボタ泣いたりもしている。 女性が映画館で見るのは、向いてないかもしれない(苦笑)。 その位、泣いた。 私は時々、可愛くて「カールーっ!」と叫びたくなった(笑)。 アニメなのに、キャラ同士の間や空気感が絶妙だった。 「さすがディズニー!!」と、1人納得していた。 とっても微笑ましくて、「貧乏でも、こんな人生だったら幸せだよな ぁ〜…」と思える映画だった。 次見る時は、旦那さんと一緒に見たいものである。 ↑一生見れなかったりして(爆)!! |