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伊丹さんの恋「きみにであうまで。」−『相棒』二次創作小説


『相棒』のキャラクターを使用して書いておりますが、本編とは全く関係ありません
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 「さよなら」



紅色の唇が、ひやりとした声でそう告げる。



 「おう」



オープンカフェのテーブルに座ったまま、目の前に立つ女に手を挙げ
て応えた。
女は切れ長の目を光らせて、俺を睨んだ。
フッているのに、特に感慨もなく見上げる男が憎らしいのだろう。
だけど、仕方ないじゃないか。
引き留めるつもりは毛の先ほども無いのだから。

女は薄茶色の髪の毛をハデになびかせて、立ち去った。

俺は、よくあんなヒールで怒りを表して歩けるもんだと感心していた。
細くて、やわらかくて、手入れの行き届いた、女の自慢の髪の毛が遠
ざかってゆく。
いい加減、人混みに紛れたのを確認してから、視線を手元に戻す。
かなり冷めてしまったコーヒーを飲んで、頭を掻く。



 「面倒臭ぇ〜」



最後まで自己チュー女だったなと思い、つい本音が出た。





俺だって男だし。
「いいなぁ」と思う女がいたら、声の一つも掛けてみる。
たまに、誘うように擦り寄ってくる女もいる。
何がいいんだか知らんが。

今の女は、後者だった。

一般的に”美人”と呼ばれるタイプで、自分の価値をしっかり理解し
ているヤツ。「カタイ職業の男としか付き合わないの」と言っていた
から、「公務員」という俺の職業がお気に召したのだろう。

断る理由も見つからなかったので、流れに任せて付き合った。



 「3ヶ月…か?」



積極的に連れ回されて、随分と色んな物を買わされた。
うん。でもまあ。喜んでくれているんならいいか、と思っていた。

ただ、予定をキャンセルする度に聞かされるヒステリックな「仕事と
私、どっちが大事なの!?」には疲れた。
いい加減、うんざりしていた。
けどそれは、女のほうもそうだったらしい。
しょっちゅうドタキャンしてくれる男はもう結構…だと。



 「しょうがねぇだろう。事件は待っちゃくれねんだからよぉ」



そういえば最後まで「刑事だ」と言えなかったな、と今思った。
言っていたら、何かが変わったんだろうか?



 「カンケーねぇか」



これまで付き合った女も、結局は会う時間が少ないとかで離れていっ
た。
俺に言わせりゃ、待てないほうにだって非はあると思う。
…なんて、詭弁だろうか?

さっさと優しく、包容力のある男を見つけて、俺に背を向ける女達。

ま。ある意味正解だ。
甘い言葉も、楽しい夢も見せてやれない男と付き合って、何の得があ
るというのか。
ゴールまで付き合う気はサラサラないんだから。

万歳!サヨナラ!!



 「だーっ!美和子!ちょっと待てっ!」



聞きなれたアホ声に顔を向ければ、携帯を握り締めたカメが居た。



 「何見てんだよ!」

 「お前が勝手に俺の視界に入ったんだろうが」



通話を終え、肩を落としたカメが、視線に気付いて悪態を吐く。
負けねぇけど。



 「んだと?!大体お前がバカなことすっから、変な誤解を…」

 「責任転嫁か?」

 「こ・な・い・だ!鑑識課でかけたろ!香水!!」



なんだかよくわからん小さいハコを触っていたら、「シュッ」と放た
れて。それがカメにかかったんだった。



 「別れるなんて言い出したら、どう責任とるつもりだっ!」



ズカズカと迫って来るカメの表情が、情けなくって面白い。



 「責任もなにも、それまでだろう。別れればいい」

 「他人事だと思いやがって!!」

 「なにが?」



親切にアドバイスしてやったのに、胸倉を掴まれて気分が悪い。
眉間に皺を寄せていたら、ふわんとカメの手が放れた。なんだ、一体?



 「伊丹…お前、”好きな女”いないのか?」

 「は?何言ってんだ?」

 「いや…その…」



口篭りながら、こめかみを掻くカメ。いつにも増してオカシイ。
なんかコイツ、憐れみの目を向けてないか?!俺に!!



 「女は要らねぇ!面倒臭い!」



コーヒーの代金を清算して、早く全てを終わらせよう。
女も厄介だけど、この男も大概うっとぉしいからな。

そうそう。帰って寝よう。
もう真夜中に電話で叩き起こされることもねぇし、余計な体力使わな
くて済むんだ。



 「いつか」

 「あ゛?!」



立ち去ろうとした俺に、カメがまだ声を掛けてくる。
苦渋満面で睨み付けてやると、ヤツは「ほにゃり」と笑った。
毒気を抜かれるほどの笑顔だ。



 「いつかお前も出会えるといいな」

 「は?」



「なんでもねぇ」と手を振って、カメは駆け出す。



 「意味わかんねーし」



バカの考えてることは、やっぱりわからんなと結論付けて、俺はその
場を後にした。










伊丹が、薫の言葉の意味を理解するのはこれから更に数年後のこと。



                 .☆.。.:*・ HAPPY END? .☆.。.:*・


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