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伊丹さんの恋「君とつなごう。」−『相棒』二次創作小説


『相棒』のキャラクターを使用して書いておりますが、本編とは全く関係ありません
  cometikiオリジナルストーリーです (c)テレビ朝日・東映
  ※何気に連載モノ 『相棒 ふたりだけの特命係』TOPの下に作品がまとめてあります




Tシャツにカジュアルシャツ。
それにGパンとスニーカー。

髪型はそんな変わらないと思うけど、少しラフ?かな。



 「んだよ?なんかついてるか?」



アタシは、慌てて首を横に振る。

普段あんまり見られない格好だから、見惚れて緊張しちゃうんだ。


それに!
しっかりと繋がれてる、手!!

公道で手を繋いで歩いてますヨ?!けぇぃちと!!


道行くカップルを見ながら、「手なんぞ繋がんでも歩ける!」なんて
吐き捨てるから、一生無理だと諦めてたのに。



 「疲れたら言えよ?」

 「うん」



調子狂うなぁ。

4日前。
シフトの話をしたら、急に不機嫌になって。
謝ろうにも理由がわからなかったから、様子を伺っていた。

そしたら、今朝いきなり電話がかかってきて「出掛ける用意して待っ
てろ」だもん。

こんなに早く、また会えるなんて思ってもみなかった。
すごく嬉しい。





けぇぃちの隣、並んで歩く。

前はアタシが合わせてたのに、今じゃすっかりけぇぃちが合わせてく
れてる。

もう足の痛みが、ダイレクトに心に響くこともない。

心地よい、歩調。



けぇぃちは「遠く無いハズなんだがなぁ…」とブツブツ言いながら、何か
を探してる。



いきなり立ち止まるから、ズッコケそうになってしまった。

視線を追えば、名前だけは知っている有名ブランド店の看板があった。
そこへ向って一歩踏み出す、けぇぃち。

思わずアタシの庶民の部分が、制した。



 「入る、の?」

 「おう。靴をな」



…いつも、こんな所で買ってるんだろうか?

店内は大理石の床がピカピカで、並んでる商品は美術館の展示品みた
いだ。
店員さんも黒のスーツがよく似合う、身のこなしの優雅な人ばかり。

アタシは、けぇぃちの身体に隠れた。
場違い極まりなくて、息苦しささえ覚える。



 「アタシ、外で待ってていい?」

 「買うヤツが居なくてどうするよ?」



顎が外れたかと思った。

言葉を理解するより先に、身体が拒否反応を示す。

幾らするのかなんて、値札見なくても察しがつく。
そんな大金、持ってる訳ない。

ローン?
靴でローン組むの??



 「就職祝い。まだだっただろ?」



パニくっているアタシの頭を、けぇぃちの空いた手が撫ぜた。
溶けるように笑って。

ズルイと思う。
断れないじゃないか。
そんな表情見せられたら。

ときめきが強過ぎて、頭が真っ白になった。






             * * * * *






私の就職先は全国展開している、リゾートホテル。
制服があるから、通勤着はわりと自由なんだけれど、靴だけは用意し
てくれと言われた。

黒のパンプス。

だから、入社前に自分で買ったのだ。
ここに並ぶ靴一足の、片方にも届かない値段のものだけど。
それでも、仕事に支障はないと思う。






             * * * * *






 「どうだ?」



試着して、姿見の前に立つ。

何足か試してみるものの、正直よくわからない。
履きやすくは、ある。



 「…うん」

 「気に入らねーのか?」



嗚呼…
今、店内の人全員敵にまわした。

けぇぃちに悪気は、ない。
でも、だがしかし…。

アタシの瞳から何かを感じ取って、首を傾げる。



 「口に出さなきゃ、わかんねーぞ?」



大声じゃ言い辛いから、自分の靴に履き替えて、口をけぇぃちの耳元
まで運ぶ。
少し身体を折ってくれたから、爪先立ちしなくてよかった。



 「こんな高いの、いらないよ。よく、わかんないし…」



そっと離れれば、頭をわしわしと掻き混ぜられる。
抗議の声は、けぇぃちの大きな笑い声に消されてしまった。



 「いくら安月給っても、これくらい買ってやるヨユーあるって!心配す
 んな!」

 「でも…」



納得しないアタシに、けぇぃちが肩を竦める。



 「俺も、何がいいかわかんなくてよ。聞いたんだ。…したら、靴がいいっ
 て。しかもココのは長時間履いてても、足が疲れにくいんだと」

 「…誰に?」



お姉ちゃんな訳がない。
疑問が自然と口をついて出た。



 「カメの嫁♪」



アタシの嫉妬に歪んだ顔が面白かったらしく、けぇぃちが指をさして
「しっしっし」と笑う。

その手はすぐに、叩き落した。



 「何で、また…」



美和子さんに聞いたってことは、亀山さんにも話を通さねばならない
だろう。
犬猿の仲…というか、毛嫌いしている人に何でわざわざ?



 「他に思いつかなかったんだよ!お前と休みが合うのは、今日が最
 後になるかもとか言うし…んな時に、構ってられっか!」



吐き捨てて、髪の毛を掻き毟る。


…相当、冷やかされたんだな。

それでも、聞いてくれたんだ。
アタシの為に。

胸の奥が、くすぐったくなる。



 「じゃ、気合入れて選んでいい?」

 「なっ!おま…選ぶ気なかったのかよ!?」



「言葉のアヤだってば♪」と、そこは逃げておいた。

もう一度試着させてもらい、1足を選んだ。
シンデレラのガラスの靴みたい。

けぇぃちは「もう1足、買っとけ!」と言ったけど、丁重にお断りした。

無駄遣い禁止。



靴は光沢感溢れる箱に、しずしずと収められた。
更に、肌触りのよさそうな紙袋に入れられる。

それを、けぇぃちが受取った。

アタシが持とうと思ったのに。



見上げたら、目を細めて右手を握られた。

本日、2度目!!
しかも、最初より自然だ!!

…でも、照れる。

ドキドキドキドキドキ…

心臓、うるさい。



 「あ〜?もうこんな時間かぁ。ちー?飯、何食いたい?」



ウインドウに飾られてる時計が、午後1時を回っていた。



 「中華がいい!」



来る途中に見た、中華料理店。
お店の外にあったメニューに興味を持っていたから、きっとけぇぃち
の好きなものがあるハズ♪



 「それ、本当に”お前が”食いたいのか?」

 「ま…麻婆豆腐が食べたいの!」



鋭い視線に怯みそうになって、具体的なメニューを挙げた。
引くつもりは無いとばかりに見返せば、渋々頷いてくれる。

買い物に付き合わせちゃったんだから、ご飯くらい好きなもの食べて
欲しいじゃない?






             * * * * *






 「…う〜…」



勢いで麻婆豆腐セットを頼んだのだけど、か…辛い。
3口目くらいまでは美味しかったのに。
蓮華を口に入れるのを戸惑ってしまう。



 「辛いの苦手なクセに。当り前だ」

 「食べたかったんだモン…」



そう自分に言い聞かせて、動かした手を止められる。

呆れ顔で口元を緩める、けぇぃち。


…ちょっと胸きゅん。



 「無理すんな。そっち食ってやるから、こっち食え」



テキパキとけぇぃちの五目ラーメンと、麻婆豆腐が取り替えられる。

お互い食べかけの、それ。



 「それなら、お前食えるから。な?」



言って麻婆豆腐を口に運ぶ。



 「か…辛くない?」

 「ん〜…フツーだけど、ちーには無理だろうな」



むぅっ。
言い切られてしまった。

そういえば。
いつの間にか、食べ物の好き嫌いとか、好みの味までわかるようにな
ってるなぁ。



 「オイ!伸びちまうだろ!!」

 「あ!ごめん!!」



あ。
くそう。

本当に美味しい。






             * * * * *






腹ごなしにお散歩して、現在。公園のベンチに座っています。
手を繋いだままで!!

全く。

今日は何だっていうんだろう…。



 「あ。さっきのご飯代…」



アタシが払うつもりだったのに、「お札を崩したいから」とか言って
出しちゃうんだもん。

靴のお礼…には程遠いけれど。
それでも、やっぱり。



 「お前なぁ、でき過ぎなんだよ」

 「は?」



まただ。
急に不機嫌になってしまった。

ワケがわからず、眉間に皺が寄る。



 「美花さんの学費工面すんのに働くとか、店の切り盛りまで考えて
 たりとか」

 「だって。お姉ちゃんは、アタシの所為で―…」

 「お前の所為じゃない!美花さんが進学しなかったのも…ましてや
 親の事故なんてな、お前にどうこうできるモンじゃねぇだろうが!」

 「だっ…て…」






             * * * * *






小さい頃のアタシは、お世辞もいい妹なんて言えないヤツで。
お姉ちゃんを泣かせたことだって、一度や二度じゃない。

お父さんとお母さんが、事故に遭った日も。

友達のウチへ泊まりに行って、初めて飲んだ缶チューハイで、二日酔
いして戻ってきた。
怒髪天を突いたお母さんと、それを宥めてくれたお父さん。
お姉ちゃんに介抱を任せて、「気分転換に」とお母さんを車に乗せて、
珍しく2人で配達へ出たのだ。



アタシさえ、ちゃんとしていたら…あんなことにはならなかった。

お父さんとお母さんが死ぬことはなかった。
お姉ちゃんの人生を狂わせることはなかった。

アタシの所為なんだ…

だから、アタシは償わなくちゃ。




4日前。

シフトのこと一緒に、話した”理由”。






             * * * * *






真っ直ぐに見つめる、けぇぃちの目が痛い。

なのに、逸らせない。



 「誰もお前を責めてない。償いなんか、いらねーんだ」

 「…」



ヤダ。
そんな優しいカオしないでよ!!


声、出ないし。

涙、出てくるし。



 「…つっても、許せねぇよな。自分はよ」

 「?!」

 「なぁ?償いはやめなくていいから、俺に甘えろ」

 「う゛ぇ?」

 「どっかで力抜かねぇと、倒れちまうぞ?」



そう言って、けぇぃちが抱締めてくれた。

よかった。
泣いてるトコ、見られたくなかったから。



 「ったく。どんどん1人で背負い込んでいきやがって。俺が居るの
 忘れんな」

 「でも……けぇぃち、カンケーないじゃん」



言い終わる前に、めしっと両頬を抓られた。
…痛い。

思わず涙も止まってしまう。



 「ちーのことなら、カンケーなくないだろ?」

 「らっれぇ(だってぇ)…」

 「”だって”は無しだっつーの!次、言ったら罰ゲームな♪」

 「…」



”罰ゲーム”という単語に、息を呑む。

…あれは、二度としたくない。



沈黙していたら、「よしっ!」と手を離して頭を撫でてくれた。



 「それから…」

 「まだあるの!?」

 「それから、不安なときは思い出せ。すぐに駆けつけてはやれねー
 けど…」



けぇぃちの笑顔が、かげろうみたいに揺れる。

不器用だけど、優しい人。
口も態度も悪いけど、アタシを好きでいてくれる人。



 「さっきの、して?」

 「あ?」

 「ぎゅっ…て」



シャツの袖を引っ張って、促してみる。

「ああ」と苦笑いしてから、けぇぃちは強く包み込んでくれた。
アタシもそっと、返してみる。



 「お休み…合わせられなくて、ごめんね…」



今までだって、会う時間は少なかったのに。
益々会えなくなっちゃうんだ…と、実感した。

…遅いよね。



 「休みなんて気にすんな。会えるとき、会えばいい。時間はいくら
 でもあるんだからよ」

 「いつ?」

 「ちーの仕事が終わってから、とか」

 「夜はダメって言うクセに…」

 「もうガキじゃねんだろ?」



耳元で艶っぽい声使うのも、反則だ!!

心臓バクハツしちゃうよ!!もぉっ!!



 「もぅってゆうか、ずっと前からガキじゃないしっ!!」



あたたかな胸の中から顔を上げれば、至近距離でけぇぃちの瞳にぶつ
かった。

そのまま見詰め合ったら、「ぼんっ」とけぇぃちの顔が真っ赤になった。
頭を後に逸らして、間を取ろうとする。



うん。
いつものけぇぃちだ♪

安心して、また胸に顔を埋めた。



 「お前が慣れろっつーから、俺も頑張ってんだぞ?」



けぇぃちの顎が、アタシの頭の上に乗る。
最後にボロを出して、不満そう。

そこがまた、可愛くて愛しんだけど。



 「けぇぃちぃ…すき…。すきだよ、けぇぃち…」

 「わかってるから、何度も言うな!!」



つい、”甘えて”しまいました。




                  .☆.。.:*・ HAPPY END .☆.。.:*・







































オマケ:【罰ゲームをしよう】









並んで歩道を歩いている、右京と薫。

曲がり角から突然、千花が現れる。



 「あれ?千花ちゃん。どうしたの?」

 「…」



薫が軽く手を上げて呼びかけるが、千花は無言。
どこか思い詰めているようにも見える。

右京は黙って、千花の様子を伺う。

大きく息を吸い込む、千花。



 「バカメ!バカメ!バカメ!バカメ!バカメ!」



大声で言い切ると、「ごめんなさいっ!」と付け足して踵を返した。



石化している、薫。
理解不能で、機能停止。



右京は千花の背中を見送ってから、相棒に視線を戻す。



 「斬新ですねぇ」



いまだフリーズ状態の男を、気の毒そうに見た。







             * * * * *







 「じゃあ次回は、”お前の嫁さんデ〜ベソ♪”でいこう!なっ?」

 「絶対イヤっ!!」



物陰で爆笑している伊丹に、涙目で抗議する千花なのだった。






            .☆.。.:*・ HAPPY×HAPPY END .☆.。.:*・


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