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伊丹さんの恋「温泉からただいま!」−『相棒』二次創作小説


『相棒』のキャラクターを使用して書いておりますが、本編とは全く関係ありません
  cometikiオリジナルストーリーです (c)テレビ朝日・東映
※何気に連載モノ 『相棒 ふたりだけの特命係』TOPの下に作品がまとめてあります


 「つかれた…」

淡いピンク色のルームウェアに着替えると、
千花は自分のベッドにダイブした。
大きく溜息を吐いて、枕に顔を埋める。


列車に乗っている間は、まさに”口撃”のような
質問を、美和子とたまきから受けていた。
右京は庇う様子もなく、目を閉じて眠っていて。

伊丹はというと…
薫や三浦、芹沢と小学生のようになって騒いで
いて、とても千花の事を気にかけるような様子
は無かった。。。


 「…」と、千花はゴロンと仰向けになる。


駅に着いて、美和子が「送ってってあげなさいよ」
と言わなければ、伊丹が家の近所まで送ってくれ
る事は無かっただろう。
送る…と言っても、荷物もあったしタクシーを拾って
それで。


………それだけ。


「ここでいい!」と、重たい沈黙に耐えかねた千花
が、タクシーを止めて勝手に降りると、伊丹は追う事
もなく、「おう、じゃ」と片手を上げて去って行ってし
まった。


 「普通さぁ、最後まで送るでしょ!?」


千花は身体を起こして、罪も無いクッションに当り
散らす。


 「好きだって……言ったクセにっ」
 「あらぁ、そうなの?」
 「○×△□☆?!」
 「今夜はお赤飯にしましょっかぁ♪」
 「お…おね…??」

思いっきりの独り言を姉に聞かれて、パニくっている
千花を他所に、美花はカーペットに座って笑顔を
向けた。

 「疲れてるみたいだったから、甘い物でもどうか
 なぁと思って」

コトンと小さな音を立てて、千花のマグカップが
ミニテーブルに置かれる。そこからは甘く優しい匂い
がして、千花の好きなココアが入っているのだと
わかった。
だけど、独り言を聞かれた恥ずかしさで、感謝の
言葉よりも先に怒りが口を突いて出る。

 「ちょっ…何、勝手に…」
 「ノックはしたわよ?何回も。でも返事が無いから
 勝手に入っちゃった」

イタズラが見つかって、嬉しそうな子供のように
微笑む美花を見て、千花は心の棘が抜けていく
のを感じた。
おずおずとベッドから降りて、カーペットの上に
座る。
マグカップに手を伸ばし、姉の心のようなココアを
口にした。

 「……ごめん。………ありがと」

千花の言葉に「最初からわかっていたわよ」と言う
ように、美花はニッコリ笑った。

 「そういえばね。バスケ部の佐伯君から電話が
 あって、”マネージャーの代わり見つかったんで、
 斉藤さんには迷惑かけないで済みそうです”って
 言ってたわよ?」
 「え?ウチに?」
 「千花の携帯にかけたけど、繋がらないからって」
 「え〜っ?!」

千花は旅行バッグの中から、ゴソゴソと携帯を取り
出す。パクンと開けてみると、電源がOFFになって
いた。

 「あ〜…あっち着いたら電源入れようと思ってた
 のに、忘れてた…」

慌てて電源をONにする千花を見ながら、美花は
くすくすと笑う。

 「な…何?」
 「ううん♪楽しかったんだなぁ〜と思って」
 「そっ…そんな事ないよ!大変だったんだから!!」
 「そうぉ?」
 「そ…そうだよ!年上のクセに駄々こねるし、喧嘩
 するし、意気地無いしっ!!変な勘違いして先走る
 しっ!!もぉ〜アタシより全然ガキなんだもん!!
 アイツ!!」

顔を真っ赤にして力説する千花を見て、美花は空を
見上げた。

 「でも、そこが好きなのよね?」
 「!!」

美花の言葉に、千花が固まる。

 「もっとスマートな人、選べばいいのに…」
 「だっ…そっ…」と、千花はゆで蛸状態で抗議する
 「お姉ちゃんなら、佐伯君とかオススメだなぁ」
 「”アレ”は八方美人なだけだから!!」
 「だけど少なくとも、今みたいな苦労はしなくていい
 わよ?」

千花は美花の言葉に、「?」という顔をする。

 「好きって、言葉にも態度にも表してくれるから、
 安心してられるって事」
 「べっ…別に、そんな…」
 「(千花の言葉を無視して)その点、伊丹さんは
 大変よ?口下手な上に、あの顔でしょう?いつも
 嫌われてない?なんて不安になっちゃったりして
 …でも、そういう女の心の機微にも疎そうじゃない
 ?伊丹さんて。だからよっぽど好きって気持ちが
 無いと、続かないんじゃないかなぁ…」

美花は言いながら、マグカップの中に視線を落として
しまった千花を見る。

 「好きって、言ってくれたの!」

何かを決意したように、パッと顔を上げて千花は美花
を見た。

 「2度は無いかもしれないわよ?」
 「(ぐっと息を呑む)…」
 「千花の気持ちだけで、”恋愛”できるの?」
 「…」

美花の言葉にまたしても千花は、口をつぐんでしまっ
た。。。
だって、
まさに美花の言っている事で、今凹んでいたんだから。


             * * * * *


伊丹は確かに口下手で、人間に関して不器用で、
ちょっと乱暴なトコもあって。。。

それでも、
見ていればわかるのだ。

優しい所、繊細な所、純粋な所。。。

美花に恋して、店に通う伊丹を見ていて、千花は
そんな伊丹に恋をした。
美花には婚約者が居たから、伊丹の恋は”叶わぬ恋”
だとわかってた。千花はそれがもどかしくて伊丹につい
喧嘩腰になってしまっていたのだけれど…
婚約者の存在を知らない伊丹には、ただの小煩い
ガキでしかなくて。

「嗚呼、自分も同じなんだ」と、千花は情けなくなった。

美花に背中を押されなかったら、千花はきっともう
伊丹の事を諦めていただろう。


諦めなかったのは…
いや。
諦めずに居られたのは…
「バカ」だの「ガキ」だの言いながら、伊丹の瞳に優しさが
宿っていたから。
千花の「好き」に、「ふざけるな!」と怒鳴っても真っ赤に
染まった両耳が、伊丹の心を代弁してくれているようで、
安心出来たのだ。

「好きじゃない」とは言われても、
「嫌いだ!」とは言われなかった気がする。



温泉でも、
いきなり2人になって、千花以上に戸惑っていたのかも
しれない。

薫に殴りかかろうとしたのは…本当に勘違いなのだけど、
それでも千花を大事に想ってなかったら、あんな必死に
ならないだろう。



そして、
「もう嫌だ」と言った時。

止めてくれたのだ。

「好きだ」と言って―…



結局、
それだけ言ったら倒れてしまって、キスどころではなかった
のだけども。。。





それでも、
見ていればわかるのだ。

千花になら、わかる筈なのだ。
伊丹の想いが。


             * * * * *


 「お姉ちゃん。”恋愛”は2人でするモノだよ」

千花は、旅行前よりも自信を持って、伊丹が好きだと
言える事に気付く。
その自信をくれたのは、伊丹だ。
二度と聞けない「好き」でも、
初めて聞けた「好き」だから・・・
千花はそれを宝物にして、前に進む事が出来る。

これって、
フツウじゃないかもしれないけど、
”アタシ達の恋愛”なのだ。と、
千花は答えた。

そんな妹を見て、美花は目を細める。

 「そうね」
 「そうだよ♪」

千花は、まだほんのり温かいココアを飲んだ。

 「あ。そう言えばさぁ〜アイツが煙草やめるの、誰にも言って
 無いのにさぁ、杉下さんピタッて当てちゃったんだよ!やっぱ
 あの人は只者じゃ無いよねぇ〜」

他愛ないオマケの話のつもりで言った言葉に、美花が「まあ
!」と驚きの声を上げたので、千花は目を丸くした。

 「それ、ホント?」
 「うん!杉下さんがね…」
 「(千花の言葉を遮り)違う、違う!伊丹さんが、煙草やめる
 って!!」
 「え?うん。なんか、今朝になって…やめるって…」

千花の言葉を聞きながら、美花の瞳がランランとしてくる。

 「お…お姉ちゃん?」
 「やっぱり今晩は、お赤飯にしましょ!ね!」

勢い良く立ち上がる美花に、眉間の皺を深くした千花が聞く。

 「は?!あの…意味わかんないんですけど…」

「んもぉ!」と、じれったそうに美花が地団駄を踏んで言う。

 「煙草嫌いの千花と本気で付き合って行くって決めたから、
 煙草やめる決意したんでしょ!伊丹さん!!」
 「は…へ…?」

千花は宇宙語を聞いているような顔をして、美花を見ていた。

 「情けないわねぇ〜しっかりしなさい!」
 「あ…あ……?」
 「本気になった伊丹さんかぁ〜♪んふふ〜♪楽しみっ♪」
 「や…あの…」
 「太朗君〜♪魚活さん、まだ開いてるかしら?鯛の尾頭付き
 買って来て欲しいの〜♪」

美花は小躍りしながら、千花の部屋を後にした。
千花は独り、事の重大さに気付いて心臓をバクバクさせる。

 「や…やぁねぇ〜…ちょっと、落ち着きなさいよ」

そう呟いて、千花は両手で胸を押さえるとその場に蹲った。
「嬉しすぎる」と、呟いて。



             * * * * *



 「はい、三浦さん」
 「おう、すまんな」

捜査一課のデスクで行われる、封筒のやりとりに伊丹は
目を光らせた。

 「何だ、それ?」
 「へ?温泉行った時の写真ですけど」
 「写真〜?!」
 「流石、芹沢だよ。旅慣れしてるっていうか、なあ?」
 「彼女とどっか行くのに、カメラ持ってくのは基本でしょ♪」

話の弾みかけた芹沢の肩を、鷲掴んで伊丹は自分の方に
振り向かせる。

 「”基本”なのか?」と、ドスの効いた声で
 「え…ええ。まぁ…人それぞれだと思いますけど。僕は、
 写真見ながら彼女と話したりするのも好きなんで…」

「けっ!」と吐き捨てて、芹沢を軽く突き飛ばすと伊丹は
捜査一課から出て行った。

 「な…なんなんスかぁ〜もぉ…」
 「アイツも色々あるんだよ」
 「あ〜…何と言っても、倒れちゃったんスもんねぇ〜」
 「バカ!言ってやるな!!」
 「すんません」



             * * * * *



 「…と、いう訳でだ。操作が簡単で尚且つ、仕上がりは
 超綺麗でだな、持ってて格好いいカメラをくれ!」
 「あ…あのぉ〜…お客様…」と、引き攣った笑みを向ける
 「なんだ?」と、ぶっきらぼうに
 「温泉のお話は大変よくわかったんですけれども…画素
 数ですとか、予算は幾ら位でお考えですか?」
 「ガソ??」
 「今、お持ちのパソコンやプリンターはどういったモノを?」
 「パソ……プリ……??」

外国語を聞くような表情の伊丹に、店員はどこから説明
しようかと、手近にあったデジカメを手に取った。

 「えぇ〜…コチラのデジカメは…」
 「んぁあ〜小難しい事はよくわからんから、とりあえずカメ
 ラだ。カメラくれ!」
 「いえ…ですから…」


その日、

某大手電器店のデジカメ専門コーナーは、トンチンカンな
問答をする伊丹と、店員を見る客で溢れかえったという。。。


          .☆.。.:*・ HAPPY END .☆.。.:*・



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【あとがき…という名の言い訳(笑)】

『伊丹さんの恋〜温泉シリーズ』を書き終えて、
「読みました」の感想をいただき、嬉しくて完全に
その余波でこの短いお話が出来ました(笑)。

私は普段、
一度紙に書き出してから、「あーだこーだ」やって
PCに打ち込むんですけど、コレはもぉ!!
ただただ勢いで書いてしまいまして。。。
だから、
いつもに増して「どうなんだろうね?」という
ツッコミ満載な作品になっているとも思います。

それでも、
千花がなんで伊丹さんを好きなんだろうって
部分が書けたし(多分)。
久しぶりに美花も登場したし…
美花は、あれから太朗さんと結婚して、千花と
同居しているんだと思います(太朗さん込で)。
んで、
千花は卒業したら、家を出ようと考えています。
大学は行かずに、就職しそうだけど。
美花が許さないだろうか??

とりあえず、伊丹さんは四苦八苦しながら、
デジカメを購入し、ついでに(?)パソコンと
プリンタも購入し、芹沢クンに指導を受けつつ、
こっそりデジカメの撮影練習&プリントアウト練習
をしている事でしょう(笑)。

いつか来る、”初デート”に備えて((●≧艸≦)゛

なんかもぉ、
トリオ・ザ・捜一で、”デジカメ愛好会”とか
作ってしまいそうな勢いですけど。。。


いやいや。
こんな感じで、妄想を始めるとキリがないので、
今回はこんな感じでm(_ _)m

読んでくださった皆さん、
本当にありがとうございました。
きっとまた、
『伊丹さんの恋』は続いていくんだと思います(笑)。


書けたら、
読んでやってください♪


                 2008.10.7 cometiki拝



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