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伊丹さんの恋「メールを送ろう!」−『相棒』二次創作小説


『相棒』のキャラクターを使用して書いておりますが、本編とは全く関係ありません
  cometikiオリジナルストーリーです (c)テレビ朝日・東映
※何気に連載モノ 『相棒 ふたりだけの特命係』TOPの下に作品がまとめてあります



捜査一課の自分の机で、課長席に背を向け携帯の画面を見ている、
伊丹。眉根を寄せて、思い詰めた表情。

 「・・・」

携帯を閉じ、ポケットに仕舞うと意を決したように立ち上がり、そのまま
部屋を出て行く。





                   * * * * *





休憩室でのんびりとコーヒーを飲んでいる、三浦と芹沢。
向かい合わせで座っているが、各々携帯を開いてメールを打っている。

そこにやって来る、伊丹。
にやけ顔の芹沢の背後に忍び寄り、携帯を奪い取る。

 「え?ちょっ・・・なっ!?」

突如消えた携帯を探す、芹沢。
振り返ると、伊丹がメールを熟読していた。

 「先輩ーっ!何なんスかぁっ!!」
 「何じゃねぇよ!恥ずかしくねぇのか?”愛するハニーへ”って・・・
 しかも、このハートマークの数!!」
 「いーでしょ、別に!先輩に関係無いじゃないですか!」

言って、伊丹から携帯を取り返す、芹沢。
伊丹は悪びれた様子もなく、「フン」と鼻を鳴らすと、2人の騒々には我
関せずでメールを打っている三浦の携帯を取上げた。

 「おい、コラ!伊丹!」

注意しても聞かない子供をたしなめるように、三浦が呟く。

 「醤油は濃い口でいいのか?・・・って、何だコレ?」
 「頼まれたんだよ!帰りに買って来てくれって!」

三浦は少し赤面しながら、伊丹の手から携帯を取り戻した。そして、
そのままズボンのポケットに仕舞い込む。

 「どいつもこいつもだなぁ!」

腹立たしげに吐き捨てると、伊丹は休憩室を後にした。

 「何だ、アイツ?」
 「ほっときましょう。どうせいつもの癇癪ですよ」

2人は深い溜息を吐いて、コーヒーを飲んだ。





                   * * * * *





特命係の入口に立ち、中の様子を伺う、伊丹。
右京は自分の椅子に深々と腰掛、ハードカバーの分厚い本に目を
落としていた。一方、薫はというと入口近くのソファに座って、携帯
を弄っている。
伊丹はズカズカと室内に入るが早いか、薫の携帯を取上げた。

 「わ!すみません!右京さん!」

右京の仕業だと思い、身を縮める薫。恐る恐る振り返ると、椅子に
座ったままの右京がいた。本から少し目を上げて、薫に応える。

 「え?あれ?」

何が起こったのかわからないという表情で、更に振り返ると、薫の
携帯を手にした伊丹が立っていた。

 「何やってんだ!お前は!!」

立ち上がり、伊丹の手から携帯を奪い返す、薫。

 「花の里でまってるよ・・・か。お前、本当にあの店好きだな?」
 「うるせぇ!」

子供の喧嘩が始まりかけた時、右京の携帯がメールの着信を
知らせた。2人は自然と、右京の方を見る。
右京はゆっくり携帯を開くと、メールを瞬読しスーパーコンピュータ
並の指捌きで返信を終えると、「パクン」と閉じて机の上に戻した。
その間、わずか数秒。

 「・・・」

あんぐりと口を開けて見ている、薫と伊丹に目を向ける、右京。

 「何か?」

疑問形だが、有無を言わせない空気に2人は「いいえ」と答えて
首を左右に振った。





                   * * * * *





 「とてもじゃねぇが、警部殿のは見れねぇな」

ぶちぶちと愚痴りながら、警視庁の廊下を歩く、伊丹。
ふと『鑑識課』のプレートが目に入る。
立ち止まる、伊丹。

中からひょっこりと、米沢が出て来る。

 「おや、伊丹刑事。何か、御用ですかな?」

伊丹、米沢を品定めするように、上から下まで舐めるように見る。

 「・・・あの?」
 「スマン!お前には縁の無い事だ!」
 「は??」

片手を上げて立ち去る伊丹を、呆然と見送る米沢。
全く意味がわからない、という表情。





                   * * * * *





警視庁の食堂は、夕食が始まる前のおだやかな時間が流れている。
中でも、なるだけ人の来ないような、片隅のテーブルに座り、携帯を
開き眺めている、伊丹。
溜息混じりに、頭を掻く。

瞬間―・・・

目の前から携帯が消える。

 「?!」

振り向くとそこには、薫・三浦・芹沢・米沢・右京の姿が。
薫・三浦・芹沢中心に、伊丹の携帯を見ている。

 「何すんだよ!」
 「お前だって見たじゃねーか!」
 「おあいこっスよ、先輩♪」
 「ふざけんなっ!」

携帯を取り返そうと手を伸ばす伊丹を、三浦が羽交い絞めにして制す。

 「まあまあ。押さえろ、伊丹。で?どんなメールなんだ?」

直接、画面を見られない三浦が、興味津々で問い掛ける。

が。

薫と芹沢の反応が、薄い。

 「おい。コレだけか?」

薫が確認も兼ねて、伊丹に問い掛ける。
伊丹は拗ねたように、「ぷい」と顔を背けた。

 「おいおい、どういう意味だよ?」

力の抜けた伊丹から手を離すと、三浦は芹沢から受け取り、画面を見た。



   件名:テスト

   本文:千花です。
       ちゃんと届くか、送るね?



 「何だよ、こりゃ?」

三浦が、間の抜けた声を上げる。
今度は米沢が三浦から携帯を受取り、画面を見る。
眼鏡を中指で押し上げると、もっともぶった口調で言った。

 「テストメールですねぇ。しかも、一昨日の」
 「えっ?!」

米沢の最後の言葉に、薫・三浦・芹沢が目を見開く。

 「何やってんだよ、お前?」
 「早く、返信しろ!」
 「テストメールで2日とか、アリエナイっスから!」

そして、3人が同時に叫んだ。

 「だぁーっ!うるせぇ!うるせぇっ!」

多重音を上回る声量で伊丹は叫ぶと、米沢の手から携帯を取り戻した。

 「返信の仕方、知らねぇとか言うなよ?」

薫が少し不安げに、問い掛ける。

 「知ってるよ!それ位!!」
 「だよなぁ・・・いくら友達居なくても、それ位はなぁ・・・」
 「亀山・・・!」

「あ!」と芹沢が、小学生のように勢いよく右手を挙げる。

 「先輩!好きだとか、ハートマークとか使いたかったんでしょ!」
 「ああ。だぁ〜から、色んなヤツの携帯見て回ってたのか?」
 「え?私は見られてませんが??」
 「ばっ・・・そんなんじゃねぇよ!たっ・・・ただ、その、あれだ!あれ!」

完熟トマトみたいな顔で、完全に舞い上がっている伊丹に、米沢が
助け舟を出す。

 「伊丹刑事。この手のメールには、通常。色っぽさは求められません。
 もっと、軽くでいいかと・・・」
 「嫁に逃げられたヤツの意見はいらねぇ!」

米沢が言い終わらない内に、伊丹が切って捨てる。
けしょんとなる米沢を見て、右京がようやく声を発した。

 「おや?僕は、米沢さんが一番的確な意見を述べられると思いますよ」
 「す・・・杉下警部」

右京の声に、嬉しそうに米沢が顔を上げる。

 「ああ!反面教師として!」

「ひらめいた!」と言わんばかりに、薫が手を叩く。

 「か・・・亀山さん、それもどうかと・・・」

「あ。すんません」と言って、薫は頭を掻いた。

 「えーっ。違うんスか?じゃあ、なんで米沢さんが一番なんです?」
 「この中で、米沢さん以上に。他人の携帯を見た方は居ますか?」

右京は軽く人差し指を立てて、問い掛ける。

 「ああ!鑑識だからか!」

三浦の答えに、右京は微笑む。
同時に、薫・三浦・芹沢が米沢を見た。

 「いや、だからといって・・・そんな子犬のような目で見つめられまし
 ても・・・」
 「米沢さん!ひとつイイの頼みますよ!」
 「イイの・・・と言われましても・・・」
 「こんなんですけど、この恋に賭けてるんで。この人」
 「コラ!どさくさに紛れて、何言ってんだ!」

すかさず伊丹は、芹沢に鉄拳を喰らわせる。

 「まあまあ、伊丹。ここは1つ、米沢先生にご教授いただこうじゃないか?
 な?」

薫・三浦・芹沢は顔を見合わせると、「よろしくお願いします!」と言って
深々と頭を下げた。

 「いやぁ〜・・・困りましたなぁ・・・」

唇を突き出して、渋い表情の伊丹を見る、米沢。

 「ホラ!お前も大人になれ!!」

薫が伊丹の頭を掴んで、下げようとする。
しかし、その手はすぐに撥ね退けられた。

 「っかったよ!下げりゃいいんだろ!下げりゃ!」

”不本意”という態度のまま、伊丹は頭を下げた。
米沢は心底困って、右京を見るが「にっこり」という笑みが戻ってくるだけ
だった。

 「で、でわ・・・」

おずおずと声を出す米沢に、4人が一斉に顔を上げる。
その瞳は期待に満ちてキラキラと輝いていた。

 「ちょっと・・・その期待感、眩し過ぎるんですが・・・」





                   * * * * *





自室の机に向って勉強している、千花。
テキストの間に置かれた携帯が、メールの着信を知らせる。

 「?」

手を止め、携帯を開く。

 「・・・」

読み終わった瞬間、「ふっ」と口元を緩ませる。

 「お疲れサマ」

呟いて、優しく携帯を閉じると、千花はまたペンを取った。















   件名:Re:テスト

   本文:返事、遅れてすまん
       伊丹(猫の絵文字)





                                     - END -


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